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聖歌は生歌

聖歌は生歌

年間第21主日

《A年》
 134 主をたたえよう
【解説】
 今日の歌われる詩編138は、「力を現して敵の怒りを退け」(7節)とあることから、イスラエルと対立する国との争
いが背景にあるのかもしれません。この、苦難からの救いに対し、作者は、神殿において、ともに礼拝する人々や神
の使い=天使の前で神をたたえます。詩編唱の2節の表現から、詩編作者が、神に救われたことを目の当たりにし
た諸国の王も、その救いをたたえるように願います。
 この「主をたたえよう」はすべての答唱句の中で、最も多くの詩編唱が歌われます。答唱句は、詩編136:1〔13
1〕から取られています。この詩編は、グレゴリオ聖歌では復活徹夜祭に歌われます。グレゴリオ聖歌との関係は〔1
31〕のときにお話します。八分の六拍子の答唱句の冒頭は、トランペットの響きで始まります。なお、『典礼聖歌』合
本では、最初、テノールとバスは、H(シ)ですが、『混声合唱のための 典礼聖歌』(カワイ出版 2000)では、四声す
べてFis(ファ♯)-Dis(レ♯)-Fis(ファ♯)-H(シ)-Dis(レ♯)となっています。この、ユニゾンのほうが、力強い響
きに聞こえると思います。
 「主をたたえよう」では、バスがGis(ソ♯)からFis(ファ♯)へ下降することで、ことばを延ばす間に、和音も二の和音
から四の和音へと移り、さらに「主はいつくしみ」までE(ミ)からDis(レ♯)へと深まります。その後は、旋律も和音も
落ち着いており、神のいつくしみの深さと限りないあわれみを穏やかなこころでたたえながら、答唱句は終わります。
 詩編唱は、冒頭、最高音のH(シ)から、力強く始まります。主に、詩編唱の1節全体で、一番重要なことばが多い
第三小節は、最も低いDis(レ♯)を用いることで、重厚さと、低い音への聴覚の集中を促しています。詩編唱の最後
は、主音Fis(ファ♯)で終わり、そのまま、答唱句へとつながります。
【祈りの注意】
 答唱句の冒頭は、トランペットの響きで始まります。旋律は、主音:Fis(ファ♯)⇒旋律の最低音:Dis(レ♯)⇒主
音:Fis(ファ♯)⇒旋律の最高音:H(シ)と動きますから、この旋律の上昇の力強さを、全世界への呼びかけの強さ
へと結びつけましょう。八分の六拍子の曲と同様に、この曲も、八分音符ではなく、付点四分音符を一拍として数え
ましょう。「主をたたえよう」の「た」を、心持早めに歌い、続く八分音符への弾みとし、「たえよう」を小気味良く歌うこと
で、全体のテンポが引き締まります。
 「たたえようーー」と延ばす間、 cresc. ことで、呼びかけが、すべての国・すべての民へと広がるでしょう。このと
き、バスがGis(ソ♯)からFis(ファ♯)へ下降することで、和音が変わりますから、他の声部はしっかり呼びかけを続
け、バスは地球の裏側にまで、この呼びかけを深めるようにしましょう。その後、八分休符がありますが、この休符
は、次の「主」のアルシスを生かすためのものですから、きちんと、入れてください。
 この、「主」がアルシスで、よく歌われると、このことばがよく生かされるばかりではなく、続く、滑らかな旋律の信仰
告白が、ふさわしい表現となります。最後の「深く」の四分音符が、必要以上に延ばされるのをよく耳にしますが、そ
れでは、答唱句の重要な信仰告白のことばが、途中で途切れてしまい、答唱句全体のしまりもなくなります。ここ
で、やや、 rit. からかもしれませんが、この rit. は、ことばを生かすためのものですから、「その」に入ったら、すぐに
テンポを戻しましょう。あくまでも、「ふかくーーその」は、八分音符三拍分の中であることを忘れないようにしてくださ
い。
 最後は「そのあわれみは」くらいから徐々に rit. して、答唱句を締めくくります。「えいえん」で、八分音符を五拍延
ばす間、まず、dim. だんだん弱く(いわゆるフェイドアウト)しますが、きちんと五拍分延ばしてください。その間、作曲
者も書いていますが「神様のことを」、神のいつくしみの深さもあわれみも永遠であることを、こころに刻み付けましょ
う。最後の「ん」は、「さーぃ」と同じように、「え」の終わりにそっと添えるように歌います。
 詩編唱は、この詩編にふさわしく力強く語りますが、かと言って乱暴にならないようにしましょう。今日の、第一朗読
と福音朗読は、ダビデの家の鍵を授けることが、共通のキーワードとなっています。旧約の出来事を予形としたこの
約束が、福音朗読で成し遂げられます。このことが詩編唱の3節で、歌われますから、先唱の方は、この意味を、しっ
かり伝えるように黙想してください。
【オルガン】
 前奏のテンポのとり方、模範が、会衆の答唱句の祈りを左右します。上記の祈りの注意を、前奏でしっかりと守っ
てください。言い換えれば、オルガン奉仕者の答唱句に対する、情熱が、前奏、伴奏を決め、それが、共同体全体の
答唱句のあり方を決めるのです。オルガン奉仕者が、ただ、オルガンを弾いていればよいというものではないことが
分かると思います。答唱句の性格からは、鋭くないものであれば2’を入れてもよいでしょうか。人数によっては、少し
強い4’にしておくとよいでしょう。詩編唱も、力強く歌われますので、声量が豊かな人の場合には、フルート系の4’を
入れて、Swell を閉める方法も考えられます。詩編先唱者の声量とのバランスを考えましょう。

《B年》
 128 主を仰ぎ見て
【解説】
 詩編34は個人的な詩編で、内容的には《知恵文学》と共通する点が多く(特に12-15節)、構成は、同じアルフ
ァベットの詩編25に似ています。それは、ヘブライ語の第6文字が省略されていることや、最後の23節目がアルファ
ベットの配列外という点です。ちなみに、ヘブライ語のアルファベットは22文字ありますが、一字なくすことで、3組×
7節=21節となります。ユダヤ教では、3も7も完全数になるからです。表題は、サムエル記21:11-16にある物
語と一致しますが、詩編自体の内容はそれほど関連があるとは思われません。この曲では歌われませんが、9節に
「深く味わって悟りを得よ」ということばがあることから、特に、古代教会ではミサの会食(拝領)の歌として用いられて
きた詩編です。
 答唱句は、この詩編の6節から取られています。全体は、八分の六拍子で流れるように歌われます。冒頭の四分
音符の次の八分音符が、テンポを決定する鍵で、これを含めた、連続する四つの八分音符が、テンポを持続させま
す。「を仰ぎ見て」の旋律の上昇音階と、旋律が「て」を延ばしている間に「ぎ見て」と歌われるバスの上昇音階が、
主を仰ぎ見る姿勢を表しています。さらに「光を受けよう」で旋律が最高音C(ド)からG(ソ)へ下降することで、主から
注がれる光を浴びて受ける様子を表します。また、その「よ」を付点四分音符で延ばす間、テノールとバスが「受けよ
う」を遅れて歌うことで、光が輝く様子も表されています。後半は、「主がおとずれる人の」で、バスとテノールがC(ド)
を持続し、旋律は徐々に下降してゆくことで、主の光を受けた人の顔もこころも穏やかに落ち着いて、輝くように、答
唱句も静かに終止します。
 第三音E(ミ)から始まった詩編唱は、第二小節で、最高音C(ド)に達し、最後は属音のG(ソ)で終わります。和音
の開きが少なく、特にバスの音が高いので、全体的に響き渡るように歌われます。
【祈りの注意】
 解説でも書いたように、冒頭の四分音符の次の八分音符が、テンポを決定する鍵で、これを含めた、連続する四つ
の八分音符が、テンポを持続させます。冒頭の四分音符の次の八分音符をやや早めに歌うことが、答唱句を活き活
きとさせます。この四分音符が間延びすると全体のテンポもだらだらとしてしまいますので、そうならないように気をつ
けてください。旋律が「見てーーーー」を八分音符5拍延ばす間に、バスが「おぎ見てー」と、仰ぎ見る姿勢を強調しま
す。混声で歌う場合でなくても、この「見てーーーー」をしっかりと5拍延ばし、決して短くならないように、気をつけまし
ょう。最高音C(ド)で歌われる「よ」は、乱暴にならず、胸を開いた明るい声で歌うようにしましょう。後半は、旋律が
徐々に下降してゆきますが、この間に、少しずつ dim. と rit. して、穏やかに終わるようにしましょう。
 詩編唱の1節の1小節目は、最初の音の音節が少ないので、ゆっくりと歌い始めます。音が動く「たたえ」でわずか
にテンポを早めますが、また、すぐに rit. します。その後は、どの小節も、基本のテンポではじめます。3小節目と4
小節目の、終止の四分音符の前の、もう一つの四分音符は、音節の数に応じて長さが変化する音符です。詩編の1
節の場合は「ほこり」と1音節ずつ歌います。決して「ほこーり」とならないようにしましょう。これは、詩編唱の3節の
「おくり」も同様です(今日は歌われません)。
 第一朗読では、ヨシュアがイスラエルの民に、彼らをエジプトから導き出したまことの神に仕えるか、そうではなく、
他の国々の神々を礼拝するか、二者択一を迫ります。これは、福音朗読にもつながり、永遠のいのちのことばを持っ
ておられる、イエス・キリストを信じるか信じないかが問われています。神は、この選択に「アーメン(ハイ)」と応えた
人の「魂をあがない、より頼む人を滅びから救われる」(詩編唱の6節)のです。キリスト教(ユダヤ教はイスラム教も
含めた、唯一神)の信仰は、決して、「あれもこれも」ではありません。ペトロや弟子たち同様、わたしたちも、人生を
キリストに賭けたことを忘れないで、今日の詩編を味わいたいものです。
【オルガン】
 答唱句のことばを考えると、明るめの音色が良いと思いますが、プリンチパル系は避けましょう。オルガンの前奏で
は、祈りの注意で書いた、テンポの決定が、やはり、重要です。オルガンが、前奏でしっかりと提示し、伴奏中も、目
立たないように、会衆の祈りを、テンポ良い祈りにしたいものです。加えて、答唱句の最後の rit. も重要です。前奏
のときもそうですが、会衆が歌っているときも、会衆の祈りを、静かにふさわしくおさめることができるように、助けるこ
とができれば、いうことはありません。これらは、単に、前奏や伴奏で音を出せばいいのではないことは言うまでもあ
りませんが、これら、テンポも rit. も、毎回の伴奏と、それを準備する練習と、さらには、それらを含めて、生涯、祈り
を深め、味わい深いものにすることは、生涯問われ続けていることを忘れないようにしたいものです。
 なお、最後の dim. は、パイプオルガンや、足鍵盤を使っているときにはできませんが、リードオルガンでは、ふい
ごの踏み方で表現できますから、リードオルガンを使う場合には、dim. も祈りを深めるようなものにしてください。

《C年》
 134 主をたたえよう
【解説】
 詩編117は、全四編中最も短い詩編で、ヘブライ語でもわずか15語しかありません。1節では、全世界の民に、神
(主)をたたえるよう呼びかけ、2節は、その根拠となる、イスラエルに対する、神(主)のはからいを述べています。す
なわち、神に選ばれた民イスラエルに対する、神のいつくしみを知ることで、すべての民が、まことの神を知るように
なることがイスラエルの選びの根拠なのです。これは、『教会憲章』第1項でも言われていることです。教会も、教会
自身が存在目的ではなく、神と人類との交わりの道具であり、神の国を証してゆくことが大切なことなのです。
 この詩編は、先にもあげたように最も短い詩編で、中世初期のナポリの教会では、この詩編を覚えていることが、洗
礼の条件だったと伝えられています。また、この詩編唱では、栄唱が加えられていますが、栄唱は、旧約の詩編を新
約のキリスト者の祈りとするものです。
 さて、この「主をたたえよう」はすべての答唱句の中で、最も多くの詩編唱が歌われます。答唱句は、詩編136:1
〔131〕から取られています。この詩編は、グレゴリオ聖歌では復活徹夜祭に歌われます。八分の十二拍子の答唱
句の冒頭は、トランペットの響きで始まります。なお、『典礼聖歌』合本では、最初、テノールとバスは、H(シ)です
が、『混声合唱のための 典礼聖歌』(カワイ出版 2000)では、四声すべてFis(ファ♯)-Dis(レ♯)-Fis(ファ♯)-
H(シ)-Dis(レ♯)となっています。この、ユニゾンのほうが、力強い響きに聞こえると思います。
 「主をたたえよう」では、バスがGis(ソ♯)からFis(ファ♯)へ下降することで、ことばを延ばす間に、和音も二の和音
から四の和音へと移り、さらに「主はいつくしみ」までE(ミ)からDis(レ♯)へと深まります。その後は、旋律も和音も
落ち着いており、神のいつくしみの深さと限りないあわれみを穏やかなこころでたたえながら、答唱句は終わります。
 詩編唱は、冒頭、最高音のH(シ)から、力強く始まります。主に、詩編唱の1節全体で、一番重要なことばが多い
第三小節は、最も低いDis(レ♯)を用いることで、重厚さと、低い音への聴覚の集中を促しています。詩編唱の最後
は、主音Fis(ファ♯)で終わり、そのまま、答唱句へとつながります。
【祈りの注意】
 答唱句の旋律は、主音:Fis(ファ♯)⇒旋律の最低音:Dis(レ♯)⇒主音:Fis(ファ♯)⇒旋律の最高音:H(シ)と動
きますから、この旋律の上昇の力強さを、全世界への呼びかけの強さへと結びつけましょう。八分の十二拍子のこの
曲は、八分の六拍子の曲と同様に、八分音符ではなく、付点四分音符を一拍として数えましょう。「主をたたえよう」
の「た」を、心持早めに歌い、続く八分音符への弾みとすることで、全体のテンポが引き締まります。
 「たたえようー」と延ばす間、さらに cresc. をすることで、呼びかけが、すべての国に広がるでしょう。このとき、バ
スがGis(ソ♯)からFis(ファ♯)へ下降することで、和音が変わりますから、他の声部はしっかり呼びかけを続け、バ
スは地球の裏側にまで、この呼びかけを深めるようにしましょう。その後、八分休符がありますが、この休符は、次の
「主」のアルシスを生かすためのものですから、きちんと、入れてください。
 この、「主」がアルシスで、よく歌われると、このことばがよく生かされるばかりではなく、続く、滑らかな旋律の信仰
告白が、ふさわしい表現となります。最後の「深くー」の四分音符が、必要以上に延ばされるのをよく耳にしますが、
それでは、答唱句の重要な信仰告白のことばが、途中で途切れてしまい、答唱句全体のしまりもなくなります。ここ
で、やや、 rit. するからかもしれませんが、この rit. は、ことばを生かすためのものですから、「その」に入ったら、す
ぐにテンポを戻しましょう。あくまでも、「ふかくーその」は、八分音符三拍分の中であることを忘れないようにしてくだ
さい。最後は「そのあわれみは」くらいから徐々に rit. して、答唱句を締めくくります。「えいえーん」で、八分音符を
五拍延ばす間、まず、dim. (だんだん弱く=いわゆるフェイドアウト)しますが、きちんと五拍分延ばしてください。そ
の間、作曲者も書いていますが「神様のことを」、神のいつくしみの深さもあわれみも永遠であることを、こころに刻み
付けましょう。最後の「ん」は、「さーぃ」と同じように、「え」の終わりにそっと添えるように歌います。
 今日の「集会祈願」(試用版)にもあるように、神は「国籍や民族の異なるわたしたちを神の国のうたげに招いてくだ
さいます。」イスラエルの指導者たちは、自分たちがアブラハムの子孫であることで、神の国が保障されていると安心
していましたが、それによって、律法の本質を見失うことになってしまいました。わたしたちも、洗礼を初めとする秘跡
で安心するのではなく、キリストの福音をしっかりかみしめて、それに従って生きる恵みを願うことが大切ではないで
しょうか。今日の詩編を味わいながら、わたしたちが「すべてに国よ神をたたえ、すべての民よ神をほめよ」という詩編
のことばの模範となれるよう、祈りを深めたいものです。
【オルガン】
 前奏のテンポのとり方、模範が、会衆の答唱句の祈りを左右します。上記の祈りの注意を、前奏でしっかりと守っ
てください。言い換えれば、オルガン奉仕者の答唱句に対する、情熱が、前奏、伴奏を決め、それが、共同体全体の
答唱句のあり方を決めるのです。オルガン奉仕者が、ただ、オルガンを弾いていればよいというものではないことが
分かると思います。答唱句の性格からは、鋭くないものであれば2’を入れてもよいでしょうか。人数によっては、少し
強い4’にしておくとよいでしょう。詩編唱も、力強く歌われますので、声量が豊かな人の場合には、フルート系の4’を
入れて、Swell を閉める方法も考えられます。詩編先唱者の声量とのバランスを考えましょう。




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